今回は、経理・財務のプロフェッショナルとして20年以上のキャリアを持つ安高佳依氏に、MBAへの挑戦を決意された背景や、仕事・学業・プライベートを両立されてきたご経験についてお話を伺いました。説明会の一部内容をご紹介します。
目次
卒業生プロフィール
安高佳依 様オムロンエキスパートリンク株式会社(現在グループ会社へ出向)
経理・財務(20年以上)
着付け講師・裏千家茶道・フラメンコ・中国語
Q.MBAを取得しようと思った理由
きっかけは主に3つありました。まず1つ目は、毎年ある会社のキャリア開発面談です。私の会社では「ジェネラリスト」か「エキスパート」か選択します。元々大学で心理学を専攻しており、キャリアコンサルタントの資格も取得していたこともあり、自分のキャリアを見直す機会は多い方でした。3社で経理財務領域を中心にキャリアを積んできましたが、私の場合は広くさまざまな分野・業務に携わっていましたので、自分自身はジェネラリスト、つまりマネジメントの方向が合っているのではないかと考えていました。2つ目は、当時弊社の社長が女性の方だったのですが、「あなた、いいですか。私がやるって手を挙げるのよ」と声をかけていただいたことです。女性の管理職が少ないというのは日本の特徴ですが、その女性の社長に背中を押していただいたことで、上司の推薦を待つのではなく自ら手を挙げるのだと、気持ちを切り替えることができました。
3つ目は、自己分析です。経理や財務はどうしても目先の業績にフォーカスしがちで、中長期的な視点が自分には欠けていると感じていました。何が足りないのかを考えた時に、戦略やマーケティングといった今まで携わっていなかった領域を身につける必要があると思いました。バランスをある程度取れるようにならなければいけないということで、MBAの取得を決意しました。
Q.ウェールズ大学トリニティセントデイビッド(UWTSD)を選んだ理由
私は関西に住んでおりますので、関西のビジネススクールのパンフレットも取り寄せましたし、米国MBAの説明会にも参加しました。ただ、関西のビジネススクールは夜間通学が前提になっており、私は経理という仕事柄、年次決算の時期が非常に繁忙で通学が難しいという事情がありました。また、Webでさまざまな情報を調べる中で、自分の興味があるテーマの科目があるビジネススクールを探していましたが、なかなか合うところが見つかりませんでした。
最終的に、これだけグローバルと言われている時代に高額な費用をかけるのであれば、海外のMBAが良いのではないかと考えました。米国MBAとウェールズの比較になりましたが、米国MBAは後半で英語の学習が入り、グループワークもチャットベースとのことでした。一方、UWTSDは日本に住む方々と直接グループワークができるという点が魅力的でした。私は英語のスコアがそれほど高くないので気にはなりましたが、経営学の知識を学ぶことが目的ですので、英語は修了後に頑張ればよいと割り切り、UWTSDを選びました。
Q.講義の印象
思っていたより一方的な授業ではなく、考えさせる内容が多いという印象でした。グループで課題が出て、翌週までに完成させて講義で発表するという形が中心で、アウトプットの部分がかなり鍛えられる授業だったと感じています。特に学びたかったのは、全く未知の領域だったマーケティングと戦略です。入学時にマーケティングが最初の科目で、初めてフレームワークを使うという状態からのスタートでしたが、元々基礎がなかったからこそ、理論中心の授業は自分に合っていたと今振り返ると思います。
HRの科目については、心理学を専攻していた経験やキャリアコンサルタントの更新学習がありましたのであまり不安はありませんでしたが、マーケティングは全くの未知でした。ただ、身近な事例がケーススタディで扱われていましたので、「このようにフレームに落とし込むのか」と、大変有益な学びになりました。一方で、ファイナンスやアカウンティングは業務に近い分野であるにもかかわらず、「できなければいけないのに分からない」というもどかしさがあり、辛い思いもしました。
経営戦略については、経営と事業の両方の視点から戦略をどう捉えるかという点と、グローバルに国境を越えて競争するという視点が非常に新鮮でした。何がローカライズで何がグローバライズなのかを、自分の企業や以前勤務していた会社に当てはめて考えると面白く感じましたし、企業を取り上げてブルーオーシャン戦略などの理論に落とし込んで課題を発見する作業は、苦しみながらも意外と楽しいものでした。やりがいがあったと感じています。
Q.入学前後のギャップ
グループワークが中心であるというのは意外でした。毎週平日の夜に、クラスメイトの方達も仕事がある中でグループワークをして課題に取り組むうちに、関係性がどんどん密になっていきます。今でもお会いする機会があればお声がけしたり、繋がりが続いているというのは大きな収穫です。また、正直に申し上げると本当に大変でした。課題が多く、仕事をしながらの取り組みですので、辛いと感じる機会が何度も訪れました。それでも同期と励まし合いながら乗り越えることができました。実は以前、自分が卒業生インタビューを聞く側だった時に、「人との繋がりが得られた」とおっしゃっている方がいて、その時はその意味が理解できずにいました。しかし実際にやってみて、本当に1人では乗り越えられなかったと実感しています。それが今の率直な感想です。
Q.土曜日受講、予習・復習などの時間確保のためのタイムマネジメント方法
平日は通勤時間に読書をするようにしており、入学が決まってから電子タブレットを購入して電子書籍に切り替えました。お昼休みも食事を済ませたらすぐに読書に充てるなど、時間を捻出する工夫をしていました。土曜日は1日授業がありますので、それが主な学習時間です。日曜日は趣味のフラメンコと中国語をルーティンとして続けつつ、合間にカフェで読書をするといった形で過ごしていました。修士論文については、本来4〜5月頃から講師とのやり取りが始まりますが、私はある程度テーマに必要なものが分かっていましたので、3月頃からコツコツとデータをExcelに蓄積していました。一夜漬けで課題を仕上げる方もいらっしゃいますが、私は睡眠時間を確保したいタイプでしたので、比較的計画的に進めていました。
大学時代に論文を書いた経験がなかったため、しっかり書けるかどうか不安はありました。そのため早めに準備を始め、有志の同級生と半年前ぐらいから定期的にリモートで勉強会を実施し、「こういうことが必要ですね」と情報交換しながら進めていました。
Q.MBAプログラムで得た成果
一番の成果は知識です。中長期的な視点が足りないという課題を持って入学しましたので、今ではさまざまな企業の方から今後のありたい姿を伺った際に、無意識に「経営戦略ではこうだったな」「マーケティングではどういったペルソナになるのだろう」と考えるようになりました。視座が確実に高くなったと感じています。もう1つは、厳しいカリキュラムを通過して修了式に参加できたという自信です。将来のキャリアの選択肢に対して、しっかりと自信がつきました。
人との繋がりという面では、さまざまな職業・役職の方々とフラットに接することで、「他の方はそのように考えるのか」と視野が広がりました。
また、学位取得後にSNSに登録しますと、英語スキルがある前提でさまざまなオファーが届くようになりました。学位に見合うだけの英語力を今後身につけていきたいと、現在取り組んでいるところです。
Q.MBAプログラムで困難だったこと
修士論文が最も大変でした。講義期間中は同じ課題に取り組む仲間がいますので、互いに相談し合うことができます。しかし修士論文になりますと、自分のテーマとスーパーバイザーの先生とのやり取りが中心になりますので、基本的には孤独との戦いでした。修士論文のテーマについては、経理として普段から財務諸表に接している中で、企業に求められている非財務指標に関心がありました。たとえば、女性管理職を増やすことで本当に財務指標は改善するのか、ESG※やSDGsへの投資が最終的に財務にどのような影響を与えるのか。ただ、非財務指標は範囲が広すぎますので、ダイバーシティに絞って研究を行いました。
もう1つはマーケティングです。初回の科目で自分に知識がなかったため、本当に苦労しました。発表内容やフレームワークを同期の優秀な方に確認していただきながら、なんとか乗り越えました。
※ESGとはEnvironment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」という3つのテーマからそれぞれの頭文字を取って組み合わせた言葉
Q.卒業生・在校生との交流
私は関西在住ですので、交流の機会はそれほど多くありませんが、関東ですと学生数が多いため、有志の飲み会や学友会(アルムナイ)の懇親会など、さまざまな機会があります。関西では大阪で「関西会」という有志の飲み会を半年に1回ほど開催しております。個人的には、仲の良い同期と年に数回はお会いしています。来週も福岡の同期のもとへ4〜5人で訪ねる予定ですし、仕事で関西に来られる同期と食事をしたり、東京に行った際にお声がけしたりと、細く長い繋がりが続いています。
Q.在籍中・卒業後の実務への実践
普段の業務では、経営層や事業部の方、グループ会社など、さまざまな部門の方とやり取りをしております。現在はシェアードサービス会社から事業会社に異動となり、事業寄りの業務が中心になりました。ファイナンスで学んだバリュエーションについては、元々業務で数字を見る機会がありましたが、より身近なものになりました。以前はWACCという言葉の定義すら分からない状態でしたが、今では内容を見て理解できるようになっています。異動は会社の方針によるもので、業務内容自体に大きな変化はありませんが、MBAで学んだことが実務に直接活きていると感じております。受講してよかったと、今でも思っています。
MBA取得を検討している方へのメッセージ
MBAは2年間という貴重な時間と、多額の費用がかかります。ただ、今こうして説明会に参加されている時点で、ある程度意思が固まっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。「やろう」と決めた時期を逃さないようにしていただければと思います。MBAは講師から学生への一方通行ではありません。経営自体も1人で完結できるものではなく、同僚や得意先、仕入れ先があっての経営です。学生間のコミュニケーションも、人間同士の関係性の上に成り立っています。
グループワークでは、メンバーそれぞれの仕事の繁忙期が異なるため、足並みが揃いにくいと感じる場面もあるかもしれません。しかし、あくまで自分はここで何を得て今後どう生かしたいのか、自分がどうありたいのか。そこに立ち返っていただければと思います。