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コラム

MBA column

2025年2年20日(木)開催 卒業生説明会レポート



今回は、臨床現場から教育者へとキャリアを広げる理学療法士の卒業生に『学びが即実務に活かせる』MBAの学びについてお話を伺いました。説明会の一部内容をご紹介します。

目次



卒業生プロフィール



長谷川 諒 様
学校法人 新潟福祉医療学園 評議員
看護リハビリ新潟保健医療専門学校 理学療法学科 専任教員
M.B.A. with Merit(UWTSD)
運動器認定理学療法士(JPTA)

2013年に新潟保健医療専門学校を卒業。理学療法士国家試験に合格し千葉県の整形外科クリニックに勤務。 同クリニックと非常勤(回復期病院と介護保険施設)を経て、2019年から母校である新潟保健医療専門学校に戻り、理学療法士養成に従事している。 2024年に本MBAプログラムにてMBAを取得。

<UWTSD修士論文テーマ>
心理的安全性に影響を及ぼす思考特性(Thought characteristics that influence psychological safety)

<原著論文>
2021年 コロナ禍における臨床実習
2024年 自律的学習に影響を及ぼす曖昧さ耐性

<学会発表>
2014年 第19回千葉県理学療法士学会(口述)
2017年 第52回日本理学療法士学術大会(ポスター)
2024年 第13回日本理学療法教育学会学術大会(口述)
2024年 人材育成学会 第22回年次大会(口述)*修士論文の内容

<書籍>
2017年 新ブラッシュアップ理学療法
2018年 理学療法ジャーナル
2020年 骨関節障害理学療法学
2022年 問題解決モデルで見える理学療法臨床思考
2022年 地域理学療法学
2023年 理学療法検査測定ガイド(第3版)

Q.MBAを取得しようと思った理由

医療業界、特に医師を中心とする環境で10年以上働いた後、教員になる際に学位の取得を考えました。当初は医療系の大学院で修士・博士課程に進むルートも検討しましたが、医療の世界だけにいることで価値観や思考が凝り固まることを懸念していました。そこで全く違う世界に足を踏み出そうと考えたのです。
探す過程で日本のビジネススクールも検討しましたが、専門職学位ではなく正式な学位を取得したいと考えていました。ちょうどその時、UWTSDの広告を目にし、調べていくうちに自分が求めていた環境だと感じ、進学を決めました。
将来的には博士課程も視野に入れており、その前段階として修士課程でしっかりとした学位と論文執筆の経験を積みたいという思いがありました。

Q.ウェールズ大学トリニティセントデイビッド(UWTSD)を選んだ理由

最初は「英国の大学の学位が取れる」という点に興味を持ちましたが、個別相談で話を聞いてみると「アカデミック」な学びを重視しているカリキュラム構成だと分かりました。
アメリカ式のMBAでは講義中のディスカッションの発言量や内容が評価基準になりますが、それだけで評価されるのは違和感がありました。UWTSDは「狭く深く」アカデミックにしっかりと学べる点が私の求めていたものとマッチしました。
また、「ヒューマンアカデミービジネススクール」という名称に最初は混乱しましたが、実際は日本の事務局がサポートをするだけで、入学するのは英国国立大学のUWTSDであることを理解し、より魅力を感じました。

Q.講義の感想

新潟在住のため、オンラインでの受講が非常にメリットでした。対面だったら通えなかったでしょう。オンラインでの授業は全く苦になりませんでした。
講義はアカデミックな要素がありながらも、グループで取り組む課題が多く設定されていました。その課題に取り組む過程で知識が定着していくことを実感しました。一方的に聞くだけでなく、講義外でのグループワークが非常に学びになりました。
また、メンバーに恵まれたこともあり、グループワークが充実していました。リーダーシップの科目では、定例ミーティングを設定するなど工夫し、全員が参加しやすい環境を作りました。

Q.入学前にもっていたイメージと入学後のギャップ

元々、組織のリーダーシップや組織作りについて学びたいと思って入学したので、最初のリーダーシップ論やヒューマンリソースの科目は非常に吸収力が高く、期待通りでした。
一方、経営戦略論、マーケティング、特にファイナンスは全く新しい分野で大変でした。しかし、経営戦略のフレームワークの考え方や、マーケティングの実例など、実務と関連付けながら学ぶことができました。6科目全て充実しており、消化不良感はありませんでした。
最後の選択科目は交渉学を選び、演習が多くて非常に役立ちました。

Q.土曜日受講、予習・復習などの時間確保のためのタイムマネジメント方法

公式ガイドラインでは1日1時間、週6〜7時間の学習が推奨されていましたが、個人的には授業以外であまり勉強時間を取っていませんでした。むしろグループワークの時間で復習し、課題に取り組む中で知識を定着させていました。
筆記試験がある科目では、試験前の1ヶ月ほどは復習時間を取りましたが、日々のコツコツとした学習よりも、レポートやプレゼン資料作成の際に集中して取り組むスタイルでした。
テキストや指定書籍も科目によって活用度が異なり、分かりにくいと感じた科目の時はグループでより分かりやすい参考書を見つけ、効率的に課題に取り組みました。

Q.MBAプログラムで得たことや困難

最大の成果は社会科学系の研究方法や論文の書き方を学べたことです。医学系(自然科学)と社会科学では研究アプローチや論文の構成が全く異なります。特に因果関係の証明や仮説ロジックの重要性など、新しい視点を得られました。
その結果、修士論文をもとに人材育成学会で発表することができ、現在は論文投稿も進めています。また、石川ゼミに所属したことで、卒業後も卒業生のネットワークに参加できたのは大きな財産です。
困難だったのはファイナンスの科目でしたが、金融業界の知人に助けを求め、グループでも協力して乗り越えました。グループメンバーや縦のつながりが授業の理解を助けてくれました。

Q.ご卒業後にどのようなビジネスや活動に取り組まれたか

学校法人の評議員に選ばれたこと、広報活動やマーケティングの知識を学生募集に活かせていることなど、既存の仕事に厚みが出てきました。特に学会活動や論文投稿が積極的にできるようになったのは大きな変化です。
将来的には博士課程に進みたいと考えています。修士論文で取り組んだ「個人の思考特性と心理的安全性の関係」をさらに発展させ、なぜ人は考えないのか?といった思考やバイアスについてを脳科学的に探求したいと考えています。
今後は英語力を磨き、海外の博士課程にチャレンジしたいと思っています。

MBA取得を検討している方へのメッセージ

結局どこに行こうが学ぶのは自分自身です。何を学ぶかは自分の責任です。ただ、将来的に長期的視点を持った時に、正規の学位と専門職学位では大きく違ってくると思います。
せっかく学ぶなら、しっかりとした学位も取得し、さらに論文まで書く経験は非常に価値があります。論文執筆に不安を抱える方もいますが、UWTSDで論文が必要なことをネガティブに捉えるのではなく、むしろポジティブな特長だと感じます。
多くの同期や先輩後輩も論文に不安を感じていましたが、実際にはみなさん無事に修了されています。論文があるからこそUWTSDを選んだというくらいの気持ちで取り組むことをお勧めします。