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コラム

MBA column

2025年8年19日(火)開催 卒業生説明会レポート



今回は、理学療法士として介護現場での実務経験を積み重ね、現在は社会福祉法人の施設長として組織運営を担う立花健作氏(社会福祉法人サンヒルズふくち会 施設長)に、介護業界における社会課題や施設経営にMBAの学びをどのように活かされているのか、お話を伺いました。説明会の一部内容をご紹介します。

目次



卒業生プロフィール

立花健作 様
社会福祉法人サンヒルズふくち会 施設長

英国留学等を経て、2003年、社会福祉法人サンヒルズふくち会に入職。2009年に理学療法士国家資格を取得後、通所介護施設「デイサービスセンターはな」にて機能訓練指導員として要介護高齢者のリハビリテーション業務に従事。2016年より同法人の副施設長を経て、2021年より施設長。2025年、英国国立 University of Wales Trinity Saint David にてMBA取得。修士論文執筆タイトルは、「介護職員初任者研修による勤続3年未満の無資格介護職員の定着に関する質的研究」。その他保有資格として、社会福祉士・ケアマネージャー(介護支援専門員)・福祉住環境コーディネーター


Q.MBAを取得しようと思った理由

私がMBA取得を決意した背景には、大きく2つの理由がありました。

1つ目は、学生時代にイギリス現地でウェールズ大学系列校に在籍していた経験です。当時、寮が一緒だったMBAの学生たちがリーダーシップ論やファイナンスを学ぶ姿を間近で見て、将来自分もウェールズ大学のMBAで勉強したいという想いを抱いていました。

2つ目、そして決定的なきっかけとなったのは、2021年に現職の施設長に就任したことです。コロナ禍の真っ只中で、利用者の稼働率が4〜5割まで低下し、キャッシュフローも枯渇していく中、税理士から上がってくる月次報告書の数字が全く読めませんでした。資金収支計算書や損益計算書を見ても解釈ができず、どんな舵取りをすべきか本当に悩みました。
また、コロナ禍と言う先の見通しが立たない状況で、介護職員たちの不安も募っていく中、施設長として職員に心理的安全性を与えるためのリーダーシップをどう発揮すべきか、これも大きな課題でした。
そんな時、ウェールズ大学のMBAプログラムの存在を思い出しました。本MBAプログラムの質の高さと厳格さは承知していましたし、何よりオンラインで完結できることがコロナ禍では本当に魅力的でした。そして、当時はコロナ禍によるステイホームの長期化していたので、この時期を人間として、施設長として成長できるチャンスと捉えて迷いなく本MBAプログラム入学を決断しました。

Q.ウェールズ大学トリニティセントデイビッド(UWTSD)を選んだ理由

他校との比較では、豪州MBAも検討しました。ただ、そのMBAプログラムは最後に海外研修が必要で、コロナ禍では海外渡航が困難だったため断念しました。
何より決定的だったのは、自分がウェールズ大学に留学していた経験から、この大学への信頼が厚かったことです。当時、私が見ていたMBAの学生は30〜40代が中心で、将来母国でビジネスを展開したい方や、イギリスで起業を目指す方など、本当に多様なバックグラウンドの学生がいました。

Q.講義の感想

講師の先生方は皆、第一線で活躍されている経験豊富な方ばかりで、毎回の講義が本当に有意義でした。3時間の講義があっという間に感じられるほど充実していました。

特に印象深かったのはファイナンスの授業です。講師の先生方(ケンブリッジ大出身・投資銀行出身)は、要求されるレポートの質が非常に高く、最初は大変でした。でも、教えることへの熱量が素晴らしく、メールで質問すると毎回丁寧で明確な長文回答をいただけて、本当に勉強になりました。

また、ファイナンスの講義において先生から「企業は社長のものではなく、投資する株主一人一人のものなんだ」という言葉を教わった時は、すごく衝撃を受けました。この言葉は今でも心に残っていて、業務をする時も「企業は自分のものじゃない」という気持ちを持ちながら取り組むようになりました。

ヒューマンリソースやリーダーシップの授業では、学生同士のディスカッションやグループワークが主体的に行われ、とても刺激的でした。特にリーダーシップの授業では、学生が他の学生に対して1時間程度の講義を行うという貴重な体験もできました。
今考えると、講義がある日は朝から良い緊張感とワクワク感がありましたね。


Q.入学前後のギャップ

入学前はオンライン主体なので、読み物や個人ワーク中心のインプット重視なプログラムかなと思っていました。でも、これは良い意味で覆されました。
実際は、同期生や先輩後輩とグループになってWeb会議システムを使ってグループワークを行うことが主でした。具体的には、20時頃からグループワークを始めて(※)、まずインプット作業で得たものを発表し、そこからグループで議論していく感じでした。そして、最終的には一つの成果物を作り上げて提出する必要がありました。そう考えるとアクティブラーニング的な要素も非常に強かったですね。
もう一つのギャップは、多様なバックグラウンドの学生たちとの出会いでした。福祉業界にいる私としては、MBAプログラムに入学していなかったら絶対に知り合えない方々ばかりで、新しい考え方や発想の気づきを与えていただけました。本当に有意義な時間でした。

※科目によっては、授業で出される課題をグループワークで行う必要があります。

Q.土曜日受講、予習・復習などの時間確保のためのタイムマネジメント方法

timeschedule_600.jpg小さな子どもが2人いたので、平日の寝る前の時間は家族と過ごすことを約束して入学しました。
平日のグループワークがない日は、18時半に帰宅して20時まで夕食やお風呂で家族時間を過ごしました。
20時から21時の間は、子どももちょっとゆっくりしている時間なので、自己学習として読書や参考図書を中心としたインプット作業を行いました。21時からは子どもと一緒に寝かしつけをして、一緒に就寝し、朝の4時に起床していました。
この朝4時から7時半までの出社前の時間が、私のメインの勉強時間でした。頭もフレッシュな状態だったので、この時間帯に課題作成やレポート作成を中心に行いました。7時半に朝食を取って8時に出社するのですが、読み物だけでは1時間では足りないので、会社では昼休みや細切れの時間を使って本を読んだり、仕事中にも本を1冊こそっと持参して軽く10分程度読んだりしていました。

土曜日は8時半に起床し、9時半まで朝食と講義準備を済ませて、9時半から16時半まで講義を2科目受講しました。その後は家族と夕食を取ったり外食したりして過ごし、21時頃から講義の復習やノート作り、その日の講義内容の整理に時間を当てて、24時に就寝していました。

日曜祝日については、入学前の家族との取り決めで家族との時間を過ごしていました。修士論文提出前はさすがに崩れましたが、科目受講中はこのスタンスを貫きました。各科目から修士論文執筆まで、このスタイルは一切変えませんでした。

最初は夜型から朝型への変更が大変でしたが、1ヶ月ほどで慣れました。逆に朝型にしたことで、レポートや課題作成が頭のフレッシュな状態でできるので効率が良くなりました。しかも、この時間帯しか勉強できないと決められていたので、良い意味で勉強に集中できました。今思えば朝型にして良かったです。あと、家族の助けなしにMBA取得はできなかったと思っていますが、やっぱり子どもの成長は一度しかないので、そこを逃したくないと思い、成長過程や触れ合う時間はちゃんと触れ合うことを大切にしました。

Q.MBAプログラムで得たことや困難

様々な理論や原理原則、問題解決のためのフレームワークを学んだことで、業務の様々な課題に対してUWTSDで学んだ知識を当てはめながら考えられるようになりました。課題解決もスムーズに行えるようになり、日々の業務に余裕が生まれています。

生活スタイルの変更は確かに大変でしたが、最も困難だったのは修士論文の作成です。スーパーバイザーの先生の献身的なサポートはありましたが、6ヶ月間という長期間、自分が主体となって先行研究の収集から調査、分析、執筆まで進めていく必要がありました。
高い目的意識とモチベーションを維持し続けることの大変さを痛感しました。入学を考えている方には、入学直後から身の回りの社会問題や地域課題に広く目を向け、常に疑問を持ち続けることをお勧めしたいです。様々な課題に疑問を持ち考え続けることにより、自然とご自身が修論で取り上げるべき深い研究課題の発掘につながると思いますし、ご自身で深い修論の研究課題を発掘することで、修論時期において高い目的意識とモチベーションを持って過ごせるのではないかと思います。

Q.ご卒業後にどのようなビジネスや活動に取り組まれたか

修士論文では「勤続年数3年未満の無資格介護職員の定着」をテーマに取り組みました。この研究から多くの新しい知見を得ることができ、それを実際の職場に活かしています。

まず、勤続年数未満の無資格介護職員に対しては、初任者研修への参加推進を行い、半分義務付けのような形で実施するようになりました。実は介護職員の方でも、意外に初任者研修を受けていない方や無資格の職員の方が多く、そういった方では定着率が低いというデータがあることが分かりました。特に近年では特定技能生として日本に来た外国人も初任者研修を積極的に受け始めている現状があります。つまり、母国語ではない外国人が頑張っているのに、日本人が負けてはいけないという気持ちもありました。

また、これに該当しない介護職員についても、明確なキャリアパスを考える必要があると感じ、今年度の4月より介護職員として目指すべきキャリアパスを構築し、職員に明示しました。これにより、職員が自分たちの将来をどのように描き、どういうふうに介護職員として目指していくべきかが見えるようになったのではないかと思います。

さらに、個々のキャリアパスによって獲得された知識や介護技術が、当法人や職員に対して好影響を与える場合には、積極的な基本給のベースアップや、国が支給している介護職員の処遇改善加算というインセンティブを多く支給できるような仕組みを企業内で整えました。

これらの仕組みを整備できたのは、MBAプログラムでの学びと修士論文執筆があったからこそです。普段の業務をしていると見えない課題が、様々な論文を読むことで明確になりました。スーパーバイザーの先生と「これは面白いからやってみよう」ということで取り組んだテーマでしたが、先行研究を集める中で、介護業界にはこういう課題があるのだということが色々と分かり、本当に勉強になりました。


MBA取得を検討している方へのメッセージ

私が体感して言えるのは、英国MBA取得の先には、これまで人生で味わったことのない素晴らしい景色が待っているということです。これは実際に登った人じゃないと分からない感覚だと思います。
施設のおじいちゃんおばあちゃんからよく「あなたは今日が人生で一番若いのよ」と言われますが、本当にその通りだと思います。もしMBA入学を迷っている方がいらっしゃったら、悩む時間はもったいないと思います。半年に1回しか入学チャンスはありませんし、1日も早く、人生で一番若い今日、本MBAプログラムに飛び込んでいただきたいです。
本学MBAでは、同じ英国MBA取得を志す学生仲間や経験豊富な講師の先生方が待っています。彼らが新しい刺激を与え、MBA取得への後押しをしてくれます。日々慌ただしく感じるでしょうが、同時に素晴らしい仲間との出会いが充実感を与えてくれるはずです。
必ず「入学して本当に良かった」と実感されるはずです。迷っているならば、今日この説明会をきっかけに、入学を検討されてみてください。