今回は、大手総合商社で営業・海外駐在・法務・投資管理と多岐にわたる業務を経験し、仕事と両立しながら英国MBAを取得した高橋翼氏に、現職での業務やマネジメントにMBAの学びをどのように活かされているのか、お話を伺いました。説明会の一部内容をご紹介します。
目次
卒業生プロフィール
高橋翼 様大手総合商社勤務
<職歴>
2005年 総合商社入社
2005年 化学品部門(営業課)配属
2007年 上海語学研修後、上海支店配属
2010年 上海から帰国。子会社製品の海外営業支援プロジェクトに参加
2011年 合成樹脂製品販売課へ異動
2013年 法務部へ異動
2018年 子会社の投資管理部署へ異動
2021年 合成樹脂国内営業課へ異動(現職)
修士論文:プロスポーツチームに対する観戦者の支払意欲醸成要素
-日本プロバスケットボールリーグ"B.LEAGUE"において-
Q.MBAを取得しようと思った理由
私がMBA取得を決意した背景には、キャリアの壁に直面した経験が大きく影響しています。私の経歴をご覧いただくとわかる通り、新卒で入社してすぐ営業を経験した後、法務や投資管理など営業以外の部署で約8年間、幅広く必要な知識を学ばせていただきました。このような経験を重ねて5〜6年前に営業に戻り「これまで学んだことを生かして後輩の指導もできるだろう」と自信満々で、とても楽しみに意気込んでいたのですが、実際に戻ってみると8年前とは全然違っていて、人とのコミュニケーションが以前のように取れず大きな壁に直面しました。「自分は営業ができなくなっているかもしれない」と思い、上司へ相談したのですが、なかなか解決できず本当に悩んでいました。そんな時に、偶然SNSでUWTSD MBAプログラムの広告を目にしました。その瞬間に思い出したのが、大学生の時にOB訪問でお会いした商社の先輩の言葉でした。その方から「理工学部出身で数字に強いのは強みだけど、必ずどこかで経営を学びなさい。MBA留学をしなさい。」と言われたのです。この言葉を思い出したとき「今がそのタイミングなのかもしれない」と強く思い、MBA取得を決意しました。
Q.ウェールズ大学トリニティセントデイビッド(UWTSD)を選んだ理由
最大の理由は、仕事を続けながら学べる環境が整っていたことです。
UWTSD MBAプログラムの存在を知ったのは確か7月末頃でした。すぐに説明会に申し込み、話を伺った時点で「10月から始めるのであれば準備をしないと間に合わない」という段階だったので、正直あまり他校と比較はしていません。ただ少し調べてみたものの、仕事を辞めるつもりはなかったので「働きながら無理なく学べること」が条件でした。当時はコロナ禍ということもあり通学は難しく、すべてオンラインで週末1回の開講という形は、UWTSDしかありませんでした。日本では4月スタートの学校が多く、秋入学を受け付けていないところもありました。その点でも、UWTSDは魅力的でした。
また、実は説明会の際に「授業を少し見たいです」とお願いし、マーケティングの講義の録画を見せていただきました。マーケティングの担当教員が偶然にも私の出身校である、慶應義塾大学の教授で、講義の雰囲気が学生時代に受けていた授業と似ており「ここなら勉強しやすそうだな」と感じたことも、入学の決め手の一つでした。
Q.講義の感想
一つの教科を深く学びながら仲間と切磋琢磨できる、非常に有意義な時間であったと感じています。実際に入学してみると、2つの教科を半年間かけて学ぶスタイルで、幅広い書籍を読む機会やクラスメイトとのディスカッションの機会も多く、一つひとつをじっくり深く学べる点がとても良かったです。オンライン授業ですので、正直サボろうと思えばできてしまう環境でしたが、その分「積極的に参加することで学びがより面白くなる」と実感しました。実際、一緒に受講していた方々も「授業を面白くするためには、自分から積極的に参加していかなければならない」という意識を持っており、先生への質問やグループワークの議論など、非常に主体的に取り組まれていました。お互いに切磋琢磨できる良い空間だったと思います。
ただ、授業に置いていかれないためには自分自身が努力するしかなく、誰かが助けてくれるわけではありません。その分「主体的に自分の学びを築いていく」という意識が自然と強く芽生えました。
Q.入学前後のギャップ
入学前に特別なイメージを持っていたわけではなかったので、「思っていたのと違う」といった違和感やギャップはありませんでした。ただ、想像以上に皆さんがとても積極的で驚きました。オンライン授業の際に人前で発表するのはかなり勇気がいると思うのですが、初回の授業から「先生、ちょっといいですか?」と積極的に質問する方が多く、オリエンテーションでの自己紹介の段階からその雰囲気が伝わってきました。また、オリエンテーション後には、半年に1回、UWTSD MBAプログラムの運営事務局と面談をするためのリーダーを決める会がありました。そのときは「リーダーをやるのはどうだろう…」と探り探りの雰囲気もありましたが、私は副リーダーのような役割を務めさせていただきました。半年に1回の面談では、事務局の方もこちらの意見をしっかりと聞いてくださり、丁寧に対応していただけたので、とても良い経験になったと感じています。
Q.土曜日受講、予習・復習などの時間確保のためのタイムマネジメント方法
平日と土日で時間の活用方法を分けて過ごしていました。まず土曜日は授業が終わると、「脳を解放する日」と決めて、夫と飲みに行くのが定番でした。人によっては授業後にグループで集まってディスカッションをしている方もいましたが、私は完全にリフレッシュの時間にしていました。日曜日は宿題や読書の時間に充て、2〜3時間ほど勉強することが多かったです。
一番大変だったのは平日でした。土日の過ごし方ではどうしてもカバーしきれないので、平日に勉強時間を確保せざるを得ませんでした。私は、毎週木曜の夜にテニスの予定を入れていてそれだけは譲れなかったので、通勤時間は必ず本を読み、お昼休みも予定がなければカフェに行って勉強していました。実は会社にMBAに通っていることを伝えていなかったので、デスクで勉強するのは避けて、こっそり外で本を読んでいたのです。帰宅後は課題や読書に1〜2時間ほど取り組む、というのが平日のルーティンでした。
修士論文の執筆時期はさらにハードで、会社をフレックス勤務にしたり在宅勤務を活用したりして、少しでも勉強時間を確保しました。最後の1,2カ月は「寝た記憶がない」と思うくらい勉強に時間を費やしていたのが正直なところです。
Q.MBAプログラムで得たことや困難
一番大きな成果は「これだけ勉強して努力できたから、自分は大丈夫だ」と自信を持てるようになったことです。もちろん講義や課題で学んだ知識は、日々の業務で思考を整理する際などに活きています。ただ、それ以上にやり切ったという経験が自信につながりました。実際に同期の仲間と話しても、「これだけ頑張れたから何とかなるよね」という感覚を共有しており、それが心の支えになっています。営業に復帰した際は、業務やコミュニケーションになんとなく違和感があり少し自信をなくしてしまっていた時期でしたので、MBAを取得したことで「もうちょっと頑張れそうだ」と前向きに考えることができるようになりました。一方で、修士論文の執筆期は本当に大変でした。仕事と両立しながら睡眠時間を削って進めるしかありませんでした。特にフレームワークの設計や参考文献の収集に膨大な時間がかかり、担当教員の納得を得るまでには何度も試行錯誤が必要でした。担当教員との月1回の面談までの間に、どれだけ進められるかが勝負だったので、外回り中にも常に頭の片隅でテーマを考えていました。論文執筆の期間は半年間しかなく、データ収集・統計・分析・考察と進めるには非常に短く感じました。特に考察は、一人では行き詰まることも多く、同期や先輩に相談しながら議論を重ねて取り組みました。当初は「日本のテニスをより盛り上げる方法」をテーマにしたいと考えていましたが、半年という限られた時間でデータを集めて研究を進めるのは難しいと判断され、担当教員の助言もあって、当時注目されていたBリーグを対象にすることにしました。そこから「観客がいかにお金を払いたくなる仕組みをつくれるか」を研究テーマとして設定し、文献調査やアンケート調査を重ねて論文を完成させました。
Q.ご卒業後にどのようなビジネスや活動に取り組まれたか
修士論文後の半年間は、寝不足と疲労の反動で、週末はほとんど休養にあてる生活でした。正直、仕事への前向きな変化をすぐに実感できたわけではありません。しかし、卒業式の話が同期の間で出始めた頃から「次に何か挑戦しなきゃ」という気持ちが少しずつ芽生え始めました。社内で思うように評価されず諦めかけていたことも、同僚に相談してみたり、転職を視野に入れてみたりする中で「自分にはもっとできることがある」「他の環境でなら評価されるかもしれない」という新しい可能性を考えられるようになりました。視野が広がったことは大きな変化だと感じています。また、学びそのものが今の業務に直結しているわけではありませんが、リーダーシップやマーケティングの授業で得た知識は、職場での人間関係に活きています。後輩や上司との関わり方を冷静に分析できるようになり、自分の立場をより客観的に見ることができるようになりました。その結果、以前よりも社内で過ごしやすくなったと感じています。
修士論文で扱ったスポーツマーケティングの分野は、いつか本格的に関わりたいテーマでもあります。
MBA取得を検討している方へのメッセージ
私はMBAを取得して、本当に良かったと思っています。少しでも「MBAに挑戦してみたいな」「興味がある」と感じたら、その気持ちを大切にしてほしいです。今は海外に長期で行かなくても学べる方法がありますし、費用のハードルも下がってきています。だからこそ挑戦したいと思ったタイミングがその時と思って、一歩踏み出してほしいと思います。実際に飛び込んでみると、新しい学びや、自分でも気づかなかった興味が次々と見えてきます。私自身、20年同じ会社で働いてきましたが、MBAを通じて普段出会えない業種の方々とさまざまなテーマで深くディスカッションすることができ、勉強以上に人との交流から多くを得ることができました。
学びと人とのつながりを通して、必ず新しい視点や力を得られるはずです。もし少しでも関心があるなら是非、思い切って挑戦してほしいと思います。