menuclear

コラム

MBA column

プレゼン・セールスに役立つ「伝える技術力」

■ 伝えるということ

ここ数年、ご相談いただくテーマのトップはコミュニケーションレベルの底上げです。楽しい会話をリードする、複雑な仕組みを説明する、人にやっかいなことを頼む......、日常的なことでありながら、うまくいかなくて悩む人も多いのではないでしょうか。多くの人は自己流のスタイルでこれらのことに対応していますが、実は「学ぶ」ことで悩みが解消することは多々あるのです。

中でも「伝える」ことは、仕事においても生活においても重要なスキルと言えます。インプットしたことをどのようにアウトプットするか、そこには説明の技術が存在し、駆使すれば「あの人の言うことはわかりやすい」という明確な評価が得られ、その先の説得や交渉がやりやすくなる、というメリットもあります。

「伝える」というと、一方的に発信するイメージがありますが、伝えた結果、わかってくれるのはあくまでも相手であることを考えると、相手にとってわかりやすい発信ができているか、という観点で「伝える」ということを見直す必要があります。そのためには、相手にとってわかりやすい言葉、相手の関心が高い情報を把握する必要があります。そうなると、伝えるためには「聞く」ことが必要になるとわかります。つまり、伝えることは双方向のコミュニケーションだということです。

たとえば営業の場合、商品を出せば売れる時代ではなくなっています。商品知識を伝えるのも重要ですが、お客様の関心はセールストークをしている間でもどんどん変わっていきます。今お客様は何が気になっているのか。知りたいことを伝えられているのか。常に相手が知りたいことに焦点をあてたコミュニケーションをしていかないと、せっかくの営業チャンスを活かすことができなくなってしまいます。また営業だけではなく実はどの職種にも「伝える技術」は必要です。たとえば総務部門は、経営方針で決まった施策を伝えながら社内各部署の現状を聞き、調整を進めることが必要になるでしょう。また上司部下、同僚間でも様々な「伝える」シーンがあるはずです。

■ 伝える技術

では「技術」とは何でしょうか。「技術」というと大げさに聞こえますが、実は無意識にやっていることもあるはずです。

「結論から話す」
「『ポイントを3つ話します』などと数をあげて順序よく話す」
「『たとえば』と比喩をつかってわかりやすくする」]

などを使ったことがある人がいたら、それは十分「技術」を使っているということです。

一方「技術」とは必要な時に発揮できるもの。意図的に使いこなせるかどうかがポイントになります。「技術」は練習すれば磨かれるので、私たちのおこなう講座では、何度も練習して体得できるようにします。するとある時、意図的に「ここでたとえを出そう」「ポイントを3つに分けて話そう」ということがスムーズにできるようになってきます。

このスキルアップは様々なシーンに使うことができます。

たとえば......
・組織活性化に必要な社員のコミュニケーション能力向上に「伝える技術」を活用したい
・現場社員の業務効率化、報告のレベルアップを目的に「説明力」のトレーニングをしたい
・方針伝達、部下指導など管理職のマネジメントシーンにおける「話す力」を高めたい
・顧客はわかりやすい説明ができる営業を選ぶ。営業で成果をあげる説明の仕方を学びたい

といった相談をいただくことがあります。どれも基本的な考え方は同じです。冒頭に紹介した「コミュニケーションレベルの底上げ」が進めば、様々な業務シーンが改善していくはずです。

せっかくいい「伝え方」をしていても肝心なときに伝わらないと、意味がありません。感覚的に使っていたものを意図的、戦略的に使えるようにできるかどうか。伝え上手になるためには、この転換が大事なのです。

執筆:株式会社話し方研究所 代表取締役
福田 賢司