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コラム

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今日決めたいクロージングを成功させるには

■ お客様が安心する状態づくりが第一
 
セールスで大事なのは結果。そのために「クロージング」できるかどうかは最も重要な点です。

クロージングで意識すべきことは以下3点です。
1.安心(十二分に心を開いてもらう)
2.本音(I Message)
3.理由(本音に対する理由)

「安心」というのは、お客様に十二分に心を開いてもらうことです。一般的な心理では、売り込みに来られると「売られることを防ぎたい」と思い、ブロックする体制に入ります。その状態で何を言っても、相手は聞く耳をもってくれないでしょう。
 
そのため、「売りを手放す」「承認」「応援」を実施して「安心」される状態をつくりだします。はじめに「この場で売り込む」というトーンを外します。「今日決めて頂かなくて結構ですよ」「相見積もりとってもらって結構ですよ」ということを伝えると、お客様はほっとします。仮に最終的に買うことになるとしても、今ここで決めないといけないというプレッシャーがかかるほど、お客様は避けたいと思ってブロックしてしまうのです。まず大事なのは心を開いてもらう働きかけです。
 
次に、相手の行動へ共感し、その苦労を認めるような姿勢が好感を呼びます。たとえば相手が「この商品はいいんですけれど、上司にどうやって稟議を上げようか悩んでいるんですよね」と言ったら、「社内で意見を通していくのは大変ですよね」と相手を承認するような姿勢をとります。その共感が進むと、同じ仲間という感覚を持ってくれるようになります。そのうえで「○○さんには是非これを機にいい成果を出して頂きたいんです」と応援を込めていくことで相手のブロックが外れるようになります。

■ 焦らずクロージングステップを繰り返す
 
「安心」の状態をつくったうえで、はじめてクロージングの本題に切り込みます。お客様は聞いてくれる体制になっていますので、ここで一度明確に売り込みをします。ここが「本音」の部分です。ただしその前の状態を十分踏まえて「社内事情をお察ししますが、将来的に価値のあるこのご提案は是非御社に導入して頂きたい」と伝えていきます。そこで「なんでそこまでおっしゃるんですか」と理由の話にいけるとベスト。相手にとってどれだけ役に立つことかという理由をはっきりと伝えていきます。

そこまで聞いても「うーん」と迷う方も多くいるでしょう。「やっぱりうちはこういう事情があるからさ」といったネガティブな反応をしたら売り込み姿勢は一時手放し、「そうですよね、大変ですよね」と承認し、応援し、そして再度本音・理由とステップを踏んで会話していきます。ただ良さを伝えるだけではなく、承認や応援といった姿勢で関係性を高めていくことが、クロージングの一つの秘訣です。

■ 自分が一番のファンとなる
 
もう一つの秘訣は、「セルフクロージング」しているかどうかです。セルフクロージングとは自分自身がクロージングされること、つまり自身が売っている商品・サービスを是非買いたいと思っている状態にあることを指します。自分がそれほど惚れ込んでいる商品・サービスであれば、熱を持ってお客様に勧めたくなります。

機能や特徴をきちんと説明するのも、セールスパーソンの大事な役割です。しかし、「この商品は本当にお勧めです」というマインドかどうかで、相手への伝わり方は随分大きく変わります。営業トークを繰り返していると、ついテクニックに走ってしまうこともあるかもしれませんが、定期的に「セルフクロージング」することで、この商品・サービスを是非広めたいというマインドを高めておきましょう。その熱が最後の成果を決めることになるのです。

執筆:株式会社SRプランニング代表取締役 /
合同会社わいびっと代表 /
経営コンサルタント 森田 哲